
仮想通貨に関しては、米国や中国についてのニュースが多い中、今週ベトナムからあるニュースが飛び込んできました。
それは、ベトナム国内でビットコインでの支払いが可能になったという内容です。
ベトナムのグエン・スエン・フック首相は、財務省や中央銀行などに対して、仮想通貨での支払いや送金に関する法整備に向けて指示を出したとのことです。
同首相は、2019年6月を目処に、仮想通貨に関する法律を確立したい構えです。
今回はなぜベトナム政府がビットコインを認めるに至ったのか、その経緯と法案の内容について解説していきます。
1.どうしてベトナム政府はビットコインを認めたの?
まず、ベトナム国内でビットコイン送金が合法化された背景について説明します。
元々、ベトナム政府は仮想通貨に対して好意的ではありませんでした。
2014年には、逆に警告をして取り締まっていたりもしました。
仮想通貨自体、今ほど浸透していなかったという背景もありますが、当時はマウントゴックス事件が起きたばかりということもあり、仮想通貨に関して警戒感が強まっていたという事情もあります。
この件に関しては、ベトナム政府としても警告せざるを得なかったと考えられます。
今回、同政府が正式に容認した背景には、世界的にますます加速していく仮想通貨ブームを無視するわけにもいかなかったという事情があります。
実際、欧州などでは仮想通貨への法整備が進められていて、仮想通貨を合法的に使えるようにする動きは盛り上がっています。
2.法整備の内容
今回実施される法整備の内容は、主に税金に関することです。
実際に、新興国などではビットコインなどを使って海外送金をしたり、トレードをしたり、給料の支払いをしたりする傾向が強まってきています。
そうなると、税金が取れなくなってしまうのため、ベトナム政府は今回の法整備に乗り出したのでしょう。
日本でも2017年に施行されたいわゆる「仮想通貨法」によって税金に関する法律を規定した背景がありますが、ベトナムも同じような税金に関する法律を作ろうとしているということです。
3.なんで新興国で仮想通貨が盛り上がるの?
仮想通貨に関する動きは米国や欧州等先進国でもありますが、新興国や途上国でとりわけ盛んになる傾向があります。
どうしてなのでしょうか?
・自国通貨より信用力が高い
日本に住んでいると想像しづらいかもしれませんが、新興国・途上国ではは、自国の通貨に対する信用が高くない傾向にあります。
かつてハイパーインフレーションや口座の差し押さえ、預金引き出し制限などを何度も経験してきた国では、多くの人が自国の通貨を持つ事を敬遠しています。
例えば、アルゼンチンでは1988年に起きた年率5,000%のハイパーインフレや、2001年のデフォルト宣言後の預金封鎖などで、国民は自国の通貨を銀行に預金することの危険性を思い知らされました。
こうした国々では仮想通貨が注目されています。
仮想通貨にも、価格の変動が激しいというデメリットが存在しますが、自国の通貨の信用力が極めて低いような新興国や途上国では、自国の通貨をビットコインなどの仮想通貨に換えてしまったりしています。
自国の通貨よりも仮想通貨を信用している人が多いのです。
・送金コストが低い
また送金コストの低さも大きなメリットです。
新興国や途上国では、海外に出稼ぎに出ている労働者から本国への仕送りがGDPの多くを占める国々が少なくありません。
例えば、フィリピンでは年間200億ドル以上も出稼ぎ労働者から本国へ送金されています。これはフィリピンの国家予算の半分近くにも上ります。
出稼ぎ労働者は現在、高い手数料を払って家族のところへ銀行送金をしているか、または、紛失や盗難などのリスクを負って現金で通貨を自国へ持ち込んでいますが、仮想通貨を利用すればはこうした課題を一気に解決することができます。
4.今後の展望
今回大統領が声明を発表したことで、国内で仮想通貨が認知されベトナム国家が仮想通貨先進国になる可能性も十分にあります。
また、各国がそれぞれ対応、規制を取り決めていくとなれば、国ごとに法規制が異なることもあります。
今後の仮想通貨に対する各国の動向に注目していきたいところです。