
スイスの国民投票で10日、「ソブリンマネー・イニシアチブ(構想)」が反対多数で否決された。
同構想は、従来の「部分準備銀行制度」において民間銀行が行ってきた、十分な資本基盤なき信用創造を防ぐため、通貨創造・管理機能を国立であるスイス中央銀行(中銀)に集中させ、債務削減や経済安定を狙うというもの。
フィナンシャル・タイムズによると、中銀のジョーダン総裁は、同構想をスイス経済に深刻な打撃を与える「不必要で危険な実験」とし、「可決されれば中銀の業務を複雑化させる」と懸念していた。他方、ロンドンに拠点を持つ金融システムの研究機関「ポジティブ・マネー」の幹部ボエイト氏は、「約4分の1(24.3%)もの賛成を得られたことは、金融システム改革に確かな需要を示した」とコメント。また、ソブリンマネー・キャンペーンの広報ドーネイ氏は、反対派の強さを考えたら今回の結果は「とても満足」とし、少なくとも金融システムに対する人々の認識を高めることができたと前向きに捉えている。
米デジタルメディアのクオーツは、金融危機に対して、仮想通貨のように非中央集権的な金融システム構築を唱える流れがある一方で、中央集権を強化する真逆の流れがあり、同構想は後者に該当すると分析。